2四半期連続の設備投資のマイナスで日銀の利上げは合理的なのか?
n 4-6月期の実質GDPは前期比+0.3%(年率+1.1%)と内容が非常に弱い結果であった。ホルムズ海峡の実質的な封鎖によって、原油輸入が滞り、実質輸入が同-1.5%と落ち込んだ。輸入減少による成長押し上げ効果を除けば、経済成長は全くなかったことになる。実質賃金の弱さと家計貯蓄率が低水準なことが示す家計のファンダメンタルズの悪化によって、実質消費も同-0.0%と弱かった。自動車とエアコンの制度変更による4-6月期の一時的な需要増の反動に加え、原油価格の上昇などによるコストプッシュの悪い物価上昇が家計の購買力を更に削り、7-9月期もマイナスとなるリスクがある。
n 4-6月期の弱いGDPで最も大きな問題なのは、実質設備投資が同-1.2%と、1-3月期の同-1.0%に続き、2四半期連続の大きなマイナスとなってしまったことだ。昨年12月と今年6月に日銀の利上げによって、中小企業や地方企業の投資活動に下押し圧力をかけてしまったとみられる。米国のデータも景気が減速していることを示していることへの懸念もある。政府は、国内投資の拡大によって、経済成長ペースを加速させる方針だ。政府の経済政策の方針と整合的な金融政策運営を求められている日銀は、7-9月期のGDPで設備投資が底割れしていないことを確認してから追加利上げに動くことが合理的だろう。

日銀、クレディ・アグリコル証券
n 政府は骨太の方針で、「経済財政運営は「強い経済」の実現を目指しており、そのためにも「安定的な物価上昇」の実現に資する適切な金融政策運営を伴うことが非常に重要である。日本銀行法第4条及び政府・日本銀行の共同声明の趣旨に沿って政府と緊密に連携することを期待する。 」とした。「強い経済」の定義として、「2%の物価安定目標の実現の下で、できるだけ早期に、実質で1%を上回る、名目で3%を上回る経済成長を定着させ、更に引き上げていく。」とした。
n 日銀の展望レポートでは、2026年度から2028年度の実質GDP成長率の見通しは、+0.6%・+0.8%・+0.8%と、経済成長はまだ弱いことが示されている。一方、物価上昇率の見通しは2%台で、物価安定目標に沿った動きが予想されていて、利上げを焦らなければいけない状況ではない。日米財務相が昨年9月、為替介入に関する共同声明を公表後、真偽は定かではないが、米国は日本政府に対し日銀に利上げを促すよう水面下で要請したと報じられた。このような状況で、日銀が拙速に利上げをすれば、外国の政府の介入によって日銀の金融政策の独立性は棄損されたとみられ、円高への修正には役には立たず、逆に日銀の独立性の棄損によって更なる円安要因となるリスクが生まれかねない。


