「金融ウィークリー:円金利動向・FOMC前の静けさと市場の本音」
テーマ:高市政権下でも日銀の1回利上げは規定路線
1. 米国経済:低中所得層の消費が息切れ(シンカー)
■PCEの動き
- 9月PCE(遅れて公表)
実質:前月比 +0.0%(8月 +0.2%)
前年比:+2.1%(8月 +2.6%)
→ 増加ペースは鈍化基調
■雇用環境の悪化と低中所得層の息切れ
- ISMを含む11月までの指標でも景況感に上向きは見られず
- 低中所得層の賃金伸び率は高所得層に劣後
- 家計純資産の格差は再拡大
■コロナ後の特殊要因の剥落
- 給付金・返済猶予などで一時的にバランスシートが改善し消費が強かった
- しかし、高金利環境により低中所得層の純資産成長が鈍化 → 格差再拡大
■財政政策は低所得層への押し上げ効果が弱い
- OBBBA法の歳出はほぼ既存減税の延長
- 税額控除拡大などは富裕層にも恩恵
→ 低所得層の底上げには弱い
■今後の政策的対応
- 労働需要減退を前提にすると「消費減速」がより鮮明
- 政策手段は 利下げ深掘り が中心に
- 政府のFRBへの利下げ要求は継続見通し
2. 日本経済:高市政権下の利上げは「1回」が既定路線
■利上げを消せない理由
- 利上げ期待を無くすと 円安が再加速 → 積極財政の遂行が困難になる
- よって「1回の利上げ」は高市政権でも維持される
■12月 or 1月、どちらで利上げか?
- 判断材料は「日銀が行儀がよいかどうか」
- 衆院解散で1月の決定が遅れることを日銀が恐れるなら 12月に前倒しで実施
■政府内の構造
- 利上げ容認:財務省(為替介入の名目作り)
- 利上げ慎重:高市首相・城内経済財政相・内閣府
■高市政権の経済思想
- 日銀法4条を重視
- 基本方針は「高圧経済」「官民連携の成長投資」
- 高市首相は日銀に 事実上のデュアルマンデート を要求
→「強い成長」と「安定的な物価上昇」の両立
■12月利上げが不適切な理由
- 補正予算成立直後に景気を下押しする利上げは「常識的ではない」
- 長期金利上昇は成長期待+追加利上げ観測が要因
- 成長裏付けのない金利上昇は景気を弱くし円安を招く可能性
■「行儀の良い」判断とは
- 1月支店長会議で地方経済を確認
- 展望レポートでGDP見通しを1%程度に引き上げ
- 1月利上げが自然
■12月利上げのリスク
- 12月に「弾薬」を使うと、1月連続利上げは想定されず
- 年末年始の流動性低下で 円安加速リスク が高まる
- 政府は日銀に不安 → 来年の政策委員任命は「利上げ慎重派」を据える可能性
■利上げは1回で止まる
- その後1年は停止
- 日銀もインフレ鈍化を見込んでおり、利上げ遅延のコストは小さい
3. 国債買入れ余地:民間には十分な吸収力がある
(12月3日レポート整理)
■「国債買い手不足」論は静的分析で誤り
- 名目GDPが伸びれば民間の金融資産も増える
→ 国債保有余力も自動的に増える
■2029年度までの推計
- 名目GDP成長率:3%を維持(高市政権の高圧経済)
- 財政赤字:対GDP比 -1.5%
- 日銀買入:2027年以降月2.1兆円維持
→ 民間の国債保有余力は2029年度末まで十分
■逆ポートフォリオ・リバランス効果
- 日銀の国債比率が下がる
→ 他主体の国債比率が自然に上昇
■重要ポイント
- 国債保有が増えても「外債など他資産を売る必要はない」
- 金融資産全体が増えるため 自然と国債が吸収される
4. 物価高対策と円安(12月5日)
■「円安=インフレ持続」論の誤解
- 為替は水準(円)で語られる
- インフレ率は前年比(%)で語られる
→ 152円付近の水準が続けばインフレ率への影響は減衰
政府の対策(合計物価押し下げ効果:約1%)が残る。
■為替介入は高市政権で積極化する可能性
- 従来:財務省は外貨準備減少を嫌い消極的
- 高市政権:財政事情は「深刻ではない」と認識
→ 必要なら積極介入の可能性
→ 外貨準備の実現益を成長投資に回す可能性も示唆
5. まとめ:高市政権の金融・財政の全体像
■確定している流れ
- 日銀の利上げは1回だけ(12月 or 1月)
- その後は1年間利上げ停止
- 高圧経済+成長投資路線を日銀も支援する形へ
■政策の基調
- 成長重視の積極財政
- 為替介入は積極化の可能性
- 国債の安定消化には問題なし
- 日銀は政府の方針と整合的な金融政策を求められる

